不動産の価格を調べる方法には、
「不動産鑑定」と「不動産査定」の2種類があります。
そのため不動産の売却を考えているときに、
「鑑定と査定のどちらを受けたらいいの?」と迷う方もいるようです。
不動産鑑定と不動産査定では、価格に違いがあるのかも気になります
そこで今回の記事では、混同しがちな不動産鑑定と不動産査定の違いと共通点、それぞれの価格相場を解説していきます。
不動産鑑定と不動産査定は、どちらも不動産の価格を調べる行為ですが、以下の5つの点で違いがあります。
●行為者
●目的
●費用
●かかる日数
●依頼する会社数
それぞれでどのような違いがあるのか、順番に確認していきましょう。
行為者の違い
不動産鑑定と不動産査定では、それぞれの行為者が違います。
不動産鑑定は、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づいて行われます。
鑑定評価は独占業務であるため、不動産鑑定士、もしくは不動産鑑定士試験の一部に合格して登録された不動産鑑定士補以外が鑑定評価を行うことは認められていません。
対して査定には、不動産鑑定士のような国家資格はありません。
そのため査定は、不動産会社が仲介サービスを行うための業務の一環として実施し、法的効力もないことが鑑定とは異なります。
目的の違い
不動産鑑定と不動産査定は、同じ「価格を知る」ためであっても、その目的が異なります。
不動産鑑定は、主に銀行や裁判所など「第三者に適正価格を示す」必要があるときや、特殊な不動産の売買をするときに行われます。
たとえば相続が発生したものの相続財産の分け方についてもめている、あるいは病院やホテルなど相場がわかりにくい不動産を売却するときなどに利用されるのが鑑定です。
一方、一般の不動産を売買するときの価格を決めるときに行われるのが査定です。
費用の違い
不動産鑑定と不動産査定では、価格にも違いがあります。
不動産鑑定は、不動産鑑定事務所に仕事として依頼するため、鑑定料が必要です。
専門知識を要する調査を行ったうえで鑑定価格を出すため、依頼をすると数十万円の費用が発生するのが一般的です。
対して不動産査定は、基本的に無料で行われます。
不動産会社は、売買契約が締結されたときの仲介手数料しか報酬として受け取れないと決まっています。
不動産の査定は、契約が結ばれる前に行われるので無料となるのです。
そのため「裁判に不動産評価額証明書を提出したい」といったような、不動産鑑定を行わなければならない特別な理由がない限りは、不動産査定を行うことがほとんどです。
かかる日数の違い
不動産鑑定と不動産査定では、かかる日数も異なります。
鑑定では、不動産鑑定士が実際の現場に向かい実地調査を行い、さらに法務局や役所に出向いて各種調査をしたうえで、不動産鑑定評価書を作成します。
不動産鑑定は、内容にもよりますが依頼をしてから1週間から2週間程度の時間が必要です。
一方不動産査定は、図面や資料などの物件情報からおおよその価格を算出する簡易査定であれば、早ければ数時間で査定価格が算出されます。
実際に現地を視察する訪問査定でも、数日~1週間程度で査定額を教えてもらえます。
依頼する会社数の違い
不動産鑑定と不動産査定では、依頼する会社数も違うことがほとんどです。
不動産鑑定は、依頼するのに高額な費用が発生するため、通常は依頼するのは1社です。
そもそも不動産鑑定は、適正な価格を提示する義務があるので、理論的には何社に依頼したところでほぼ同じ価格が出ると考えられます。
しかし査定は、不動産会社がそれぞれのルールに基づいて算出することから、出される価格はまちまちです。
査定は無料であるため、適正価格を調べたい、あるいはもっとも条件のよいところと取引したいといった理由で、複数の会社に依頼して、比較することがほとんどです。
不動産鑑定と不動産査定では、実際に価格を判断する人やかかる費用などに違いがありますが、価格の出し方の基本的な考え方には共通点があります。
どちらにおいても、以下の3つの方法を、価格算出に使用します。
●取引事例比較法
●原価法
●収益還元法
それぞれどのような方法かを紹介します。
取引事例比較法を用いる
取引事例比較法とは、これまでの似たような不動産の取引の事例を参考にして、不動産の価格を試算することです。
少しでも適正な価格を算出するためには、取引事例をできるだけ多く集める必要があります。
取引事例法では、条件が近い事例と比較したうえで、さらに駅からどれくらいの距離があるのかなどの地域的要因や、日当たりや室内の使用状況などの個別的要因など、それぞれの事情に応じて補正を加えます。
ほかにも過去の事例から時間がたっていれば時点修正を、取引事例が近隣ではない場合には、交通量や騒音などの周辺環境などによる補正を実施します。
建物は原価法を使用する
建物については、原価法を使用することも共通点です。
「建物」だけの場合と、「建物とその敷地」のどちらのケースでも適用します。
原価法とは、建築時にどれくらいのコストをかけたのか、家を建ててから何年たっているのか、価値はどれくらい残っているのかを考慮して価格を出す方法です。
収益物件は収益還元法を用いる
不動産鑑定でも、不動産査定でも、収益物件には収益還元法を用いて価格を算出する共通点があります。
収益物件とは、毎月一定の賃金収入のある不動産のことで、アパートやテナントビルのことを指します。
収益還元法では、その不動産が将来生み出すと考えられる利益を考慮して査定する方法です。
1年間でどれくらいの家賃収入があって、税金や管理費などの経費がどれくらいかかるのかを計算したうえで、不動産価格を試算します。
不動産鑑定やと不動産査定を行った場合の相場価格とは
同じ不動産の価格を調べるときでも、鑑定と査定を行った場合の相場価格に違いはあるのでしょうか?
ここからは鑑定と査定での相場価格について解説します。
鑑定だと低めになる
売却価格を知るために、不動産鑑定士に鑑定を依頼しても、不動産会社に査定を依頼しても、見てもらう不動産が同じであれば、基本的には同じ価格になるはずです。
しかし実際は、鑑定では低めに価格が出される傾向があります。
不動産鑑定だと価格相場が低めになる理由
不動産鑑定において、売主から鑑定を依頼されたときに価格相場を低めに算出するのは、売主に結果的に損失を与えないためです。
不動産鑑定で算出した価格よりも高く売れれば、売主にとってはうれしいことです。
しかしもし低く売却することになってしまうと、売主は予定していた資金計画が狂うことにもなりかねません。
売主が被害を被ると、「鑑定評価額が間違っていたのでは」と訴えられる可能性があります。
不動産鑑定士は、不当鑑定となってしまった場合には、資格を剥奪されてしまうのです。
そのため不動産鑑定では、価格相場は低めに出されることが多いのです。
不動産鑑定と不動産査定は、不動産の価格を出すという共通点がありますが、目的や費用、かかる日数などに違いがあることがわかりました。
不動産鑑定は、価格が適正であることを、公的に証明する必要があるときに依頼します。
一般的な不動産売却においては、不動産会社の査定を依頼するので十分です。
ただし、不動産会社の査定価格は会社によって違うため、複数の不動産会社に依頼したうえで、適正価格を判断することが大切です。
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